消費税対策にも有効なキャッシュレス決済の活用
(全10回シリーズ)

一般社団法人キャッシュレス推進協議会

【第9回】地域全体でのキャッシュレス推進に向けて

<ポイント還元制度の加盟店登録>
 ポイント還元制度開始から約1ヵ月が経過したところです。10月末までに約92万店が登録申請し、うち約64万店(11月1日時点)の加盟店登録手続きが完了しました。制度開始直前の時期には申請件数が一日に1万件ありましたが、最近は少し落ち着いて一日5千件近くを受け付けています。また、都道府県別の件数も公表されましたので、自分の地域での登録状況等を確認することができます。

<地域活性化にも資するキャッシュレス決済>
 今回は、地域活性化を目的にキャッシュレス決済を活用する取組みを紹介します。
 キャッシュレス決済への消費者の認知や関心が徐々に高まるなか、地域単位で推進する動きが活発になってきました。こうした取組みに共通するのは、「地域活性化」「人手不足への対応」「インバウンド消費の取込み」など、地域特有の課題解決手段の一つとして、キャッシュレス決済が活用されています。
 キャッシュレス決済の導入は個別店舗に向けた施策だと考えがちですが、実は広く「面」で活用することで、地域全体への経済効果や、結果的に個別店舗の活性化にも繋がっています。

観光地と地元商店を繋ぐ
 ある観光地では、ハイシーズンに多くの観光客が訪れているのに、地元商店での消費(売上増)になかなか繋がらないという悩みを抱えていました。そこで、キャッシュレス決済を利用した観光客に、地元商店で使えるクーポン券を発行することにしました。すると、「せっかくなので」と言って、そのクーポン券を持って地元商店で買い物をする観光客の誘導に成功し、域内での回遊性を実現できました。
 多くの観光客は、事前に観光施設などを調べてから訪れますが、商業地の情報を調べて訪問するというケースはあまり聞かれません。そこで、クーポン券を発行することで、「せっかくだから使ってみよう」というインセンティブが働いて、地域の活性化にも繋げることができました。(下図)


イベントでの効果的な導入策
 イベント来場者の多くは、「財布」や「現金」の取扱いに煩わしさを感じているようです。他方で、イベントに出店する店舗等も、キャッシュレス決済事業者ごとに導入手続きを行う必要があるなど、煩雑さや使いにくさを感じているようです。
 そこで、個別店舗の事務手続きの煩雑さを解消しようと、地域の商工団体や観光協会がキャッシュレス決済事業者との窓口役を務める動きが出てきました。店舗側にとっては、釣銭の準備や来場者との金銭授受が不要となり、回転率も向上し、より多くの商品等を販売することが可能となります。また、消費者側も今日の財布に入っている現金残高に制約されることなく購買できるようになり、より高い客単価も期待できるようになります。窓口役を務める商工団体等も、キャッシュレス決済によって集まった購買データを分析することで、イベントの傾向や人の流れなどを把握でき、次回以降のイベント運営に役立てることができるようになります。

自治体を中核とした推進母体の設置を

 さらに、イベント単位から地域単位でキャッシュレス決済を推進しようという、恒常的な取組みが拡大しています。
 自治体、商工団体、観光団体、地域金融機関等が地域一丸となってキャッシュレス決済推進に取組むための組織を立ち上げる動きが出てきました。課題解決の一助となるような導入、地理的特性や文化・歴史等への造詣の深い地域ならではの手触り感ある取組みなど、キャッシュレス決済の目的がますます多様化しています。地域によって普及しやすいサービスの提供方法は多様です。今後、自治体を中核とした推進母体の設置により、キャッシュレス決済のさらなる導入促進と定着を期待しています。



【第8回】いよいよ始まったポイント還元制度 新規顧客の獲得に向けて制度活用を!

<いよいよ還元開始>
 10月1日の消費税率引上げにあわせ、大きな注目を集めてスタートした「キャッシュレス・ポイント還元制度」。最初の週は、決済サービス提供事業者が本制度を活用した様々なキャンペーンを発表しました。消費者に最大5%のポイントを還元する本制度に上乗せする形で決済事業者が独自キャンペーンを実施し、更なるポイント還元等のメリットを消費者に訴求しています。消費者は税率引上げ以上のお得感を店舗から享受することで、「現金」から「キャッシュレスでの支払い」に決済手段が移っていくことを期待しています。

<店舗の参画状況>
 10月1日時点の加盟店は全国約50万店、登録申請は約73万店(9月25日時点)にのぼりました。公表資料をみると、人口あたり加盟店数は北陸地方や北海道が多く、近畿、中国、四国地方がこれに続きます。逆に北関東や甲信、東北地方は伸び悩み、「西高東低」の傾向がみられます。制度開始に間に合わなかった登録申請分は、順次審査・手続きが進められています。今後は原則10日ごとに加盟店を追加登録していく予定です(下記スケジュール表参照)。


<リンク>https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_shinsa_schedule.pdf
注1)締日までに決済事業者からポイント還元事務局に、全ての必要な情報登録や書類が不備なく提出されれば、記載の還元開始日から実施できます。
注2)決済事業者により申込・審査等のスケジュールが異なりますので、詳しくは決済事業者へ確認をお願いします。

<制度の機能強化>
 今後、本制度に関する消費者への分かりやすい説明と、中小小売店等への対応の強化・迅速化を進めていきます。
1.店舗の登録情報の精緻化
(1) 正確な店舗情報の提供
@中小小売店等の情報(5%または2%の還元率・住所・電話番号・決済手段・区分(固定店舗/移動販売/EC)等)が誤って登録されているケースが発生し、ご迷惑をおかけしています。決済事業者に対して10月中旬を目途に速やかな修正を求めました。引き続き、修正には順次個別に対応していきます。
A一つの中小小売店等に複数の決済事業者が別々の加盟店IDを発行した結果、別々の店舗として認識されてしまい、地図アプリ等で同一店舗の情報が複数表示されるケースが発生しました。本件については、当該店舗からポイント還元事務局への申請に基づき、11月中旬を目途に情報の集約(名寄せ)・訂正を行います。
(2) 地図アプリの改善・機能強化
@地図上に表示される店舗情報のピン位置と、実際の当該店舗の所在地とが一致しないというケースが発生し、現在、修正対応しています。
A地図アプリで店舗検索できるようにしてほしいと多くの要望が寄せられています。10月中を目途に絞込み検索機能を導入します。
2.店舗向け対応の強化
(1) 加盟店登録手続きの迅速化
○一部の中小小売店等で本制度への登録手続きの遅延が発生しています。より早く制度参加いただけるよう、決済事業者に体制強化を求めています。
(2) 加盟店申請手続きに関する周知徹底
○一部の中小小売店等で「既にキャッシュレス決済を導入済みの場合、加盟店申請手続きは不要である」「複数の決済事業者と契約している場合、いずれか一社の決済事業者に加盟店申請するだけで他の決済事業者への登録も完了する」などの誤解が生じています。正しい情報をお届けできるよう、引き続き商工会議所や業界団体、自治体の協力を得ながら周知活動に努めます。
 中小小売店等におかれては、実施店舗が判別しやすいようPRポスターを消費者の目に留まる場所へ提示するなど、本制度への参加が「新規顧客を獲得する絶好の機会」と捉えていただき、積極的な制度活用をお願いいたします。



【第7回】ポイント還元制度 消費者としても活用を!

<いよいよ制度開始へ>
 10月1日の「キャッシュレス・消費者還元事業」(ポイント還元制度)開始に向け、いよいよ関係各所の準備も大詰めになってきました。8月30日時点で本制度に参加するキャッシュレス決済事業者は887社に増え、中小企業・小規模事業者(中小小売店等)からの加盟店登録申請は9月2日時点で53万件を突破しました。
 加盟店登録を完了した中小小売店等がポイント還元制度の実施店舗であることを表示するための「広報キット」(図参照)の配送も8月末から順次進められています。消費者向けに、対象店舗の一覧表だけでなく、地図上のアプリで確認できる仕組みも提供します。今後さらに決済事業者も消費者向けにPRしていくと思いますので、全国各地で「キャッシュレス決済を使ってみよう」という機運が醸成されていくことが期待されます。
 実は中小小売店等は、キャッシュレス決済を提供する事業者である(BtoC)と同時に、企業間取引(BtoB)や経営者・従業員のプライベート空間では消費者という立場にもなります。消費者として実際にキャッシュレス決済を体験いただくことで、顧客目線でサービスを理解いただけるのではないかと考えます。
 そこで、今回は、消費者としてキャッシュレス決済を利用する際の留意点を紹介します。
 なお、本制度への加盟店登録は2020年4月まで随時受付しています。未登録の中小小売店等はできるだけ早めに手続きをお願いいたします。


<使いすぎが不安…>
 消費者の「使いすぎそう」「浪費しそう」という不安に対しては、利用状況を「見える化」することで対応できます。現金払いと違ってキャッシュレス決済は利用履歴がデータで残るという特徴を持っており、支払管理が可能です。複数のキャッスレス決済手段を利用している場合には支出管理も煩雑になりがちです。その使いすぎ防止策として、市販の「家計簿アプリ」や決済事業者が提供する「アプリ・Webサービス」等を活用し、利用履歴や引落日の把握を習慣化することをお勧めします。
 また、デビットカードでは、その引落口座を、普段の預貯金や売上入金口座と分けて用意しておくのが、使いすぎ防止に有効な手立てです。電子マネー等の前払いであれば、予めチャージした範囲内でしか利用できないので、チャージする金額や間隔を管理することで、無駄遣いへの不安を解消しつつ、ポイント獲得や利便性を享受しやすくなります。

<不正利用への不安も>
 昨今のキャッスレス決済に関する不正事案の発生で、サービスの安全性や継続性に不安を抱えている人も多いと思います。「不正利用対策」や「補償の考え方」について、関連業界全体で整理しているところですが、ここでは安全にキャッシュレス決済を活用するための個人で可能な基本対策を紹介します。
 まず、決済手段ごとに、「いつ、どこで、いくら支払ったのか」を確認することが重要です。身に覚えのない取引が記載されていた場合は、直ちに決済事業者へ連絡してください。常日頃からカード番号やID・パスワードを「他人が見える状態で残さない」「人に教えない」「スマートフォンにロックをかける」「スマートフォンやパソコン等にセキュリティ対策を行って常に最新状態にする」「パスワードは同じものを使い回さない」等を意識的に実行することが重要です。もちろん、不正利用や盗難、紛失等は、キャッシュレス決済に限らず起こりうる事態です。出かけるときに戸締まりするのと同じように、キャッシュレス決済でも自身で取るべきセキュリティ対策の確認・実行が、より安全な活用につながっていきます。



【第6回】ポイント還元制度の消費者PRが本格化、統一コード『JPQR』も始動!


<一日1万件超の登録申請>
 「キャッシュレス・消費税還元事業」(ポイント還元制度)を提供するキャッシュレス決済事業者は、全国で356社(7月30日時点)に増えました。この半数以上が、中小小売店等向けにサービスを提供するB型決済事業者で、中小小売店等はこのB型決済事業者を通じて加盟店登録する必要があります。どのキャッシュレス決済事業者が加盟店登録を開始しているかは、本制度の特設Webサイト(https://cashless.go.jp/)で確認できます。ここで十分に留意してほしいのが、現在すでにキャッシュレス導入済みの店舗も、契約先のB型決済事業者に本制度への参加意向を表明して、所定の手続きをとる必要があることです。補助事業の申請手続きは「手上げ方式」ですので、くれぐれも中小小売店等は自動で(申請手続きをせずに)ポイント還元制度に参加できるわけではないことに留意してください。
 政府やキャッスレス決済事業者による消費者向けの情報発信が、8月1日から本格的に始まりました。特設Webサイトには消費者向けコーナーが開設され、加盟店登録を完了した店舗情報や、地域別の登録申請件数などを公表しています。7月30日時点で全国24万店舗の申請を受け付けています(図参照)。現在、一日につき1万件を超える登録申請をいただいている状況で、日を追うごとに申請件数も増加していて、審査に要する期間も長くなってきています。
 さらに、消費者が本制度を活用しやすいよう、Web画面の地図上で、どの店舗が本制度のポイント還元を実施している店舗かをわかりやすく示すマップ機能の提供や、店頭で対象店舗であることがひと目で確認できる統一ポスターの配布も予定しています。こうした消費者への周知を通じて、「キャッシュレスで決済しよう」という機運の高まりが期待されます。
 引き続き、本制度開始後(10月1日以降)も、中小小売店等による加盟店登録手続きを継続していきますが、出来るだけ早めの申請をお願いします。


<コード決済の統一規格『JPQR』始動>
 さて、本年8月は、わが国のキャッシュレス決済にとって、もう一つの大きな進展がありました。それは『JPQR』のスタートです。JPQRとは、コード決済(バーコード、QRコード)の表示に関する統一規格の通称で、例えば店舗提示型(店頭にQRステッカー等を提示し、消費者のスマホアプリでQRコードを読み取る方式)では、1つのQRコードを、複数の決済事業者のスマホアプリで読み取ることが可能になりました。
 総務省では、8月1日から岩手、長野、和歌山、福岡の4県で、この統一規格JPQRを用いたコード決済サービスの利用・普及に向けた「JPQR普及事業」が始動しました。当協議会では、今後の本格運用に向け、この4県以外にも横展開していくことを目指すとともに、さらにJPQRの魅力を高めるよう、店舗オペレーションの統一(「取り消し」「キャンセル」といった用語や手続き等の標準化)や契約の一本化(1つの契約で複数のコード決済サービスを導入できる仕組みの確立)、セキュリティ向上を図る予定です。



【第5回】ポイント還元制度の加盟店審査に最大2ヵ月!〜早めの申請を〜


<ポイント還元制度の受付開始>
 「キャッシュレス・消費税還元事業(ポイント還元制度)」に登録したキャッシュレス決済事業者は、全国で223社(6月24日時点)になりました。このうち143社が中小企業・小規模事業者(中小小売店等)向けにサービスを提供するB型決済事業者です。
 中小小売店等が本制度に参加するには、このB型決済事業者を通じて加盟店登録する必要があります。現在(6月24日)30社のB型決済事業者で準備が整い、登録受付を開始しています。どの決済事業者で受付開始しているかは、本制度特設Webサイト(https://cashless.go.jp/)をご覧ください。
 ここで留意すべき点は、中小小売店等が本制度の始まる10月1日から参加したい場合、加盟店審査に要する期間(「決済事業者」と「補助金事務局」の2つの登録審査に数週間〜最大2ヵ月程度かかる)から逆算すると、「7月中」には登録申請しなければ間に合わない可能性があります。従来からキャッシュレス決済を導入している店舗もですが、早めにB型決済事業者へ連絡のうえ登録手続きを行ってください。

   
   

<制度説明会の開催>
 現在、本制度の概要や登録手続き等を紹介・解説する「中小小売店等向け説明会」を全国で開催しており、日程やプログラム等をWebサイトで公開しています。また、説明会に参加できなかった中小小売店等向けに「資料」や「解説動画」も公開しています。
■中小小売店等向け説明会の開催情報:https://cashless.go.jp/franchise/session-detail.html
■中小小売店等向けの説明資料:https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_setsumeikai_shiryou.pdf
■中小小売店等向けの解説動画:https://youtu.be/WM7faSg3yQ4

<消費者に周知開始>
 今後は、中小小売店等に加え、消費者向けの周知広報が始まります。Webサイトで消費者向けのPRチラシ等を公開していますが、今後はテレビCMや加盟店での統一ポスター提示、地図アプリを活用し加盟店位置情報などの情報を発信予定です。
 おそらく10月以降、多くの消費者がポイント還元対象店舗での買い物を意識し始めると予想されます。消費者から「選ばれる店舗」になるためにも、本制度への参加を検討ください。

<検討のポイント>
 「キャッシュレス決済の導入は検討しているが、何から考えたらよいのかわからない」という中小小売店等が多いと思います。決済手段の種類も豊富で、どういった基準で経営判断すればよいか悩んでいる中小小売店等の皆様にポイントを解説します。
1.店舗や取扱品・サービスの特徴は?
 どのキャッシュレス決済手段が自身の店舗に適しているか分からない場合は、次の観点が役立つでしょう。
 @客単価が低い店舗は「電子マネー」等プリペイド式の決済を希望する消費者が多く訪れ、逆に客単価が高い店舗は「クレジットカード」決済を希望する消費者が多く訪れる傾向があります。
 A若者や社会人が訪れる店舗は「スマートフォン」を活用した決済が好まれ、逆に高齢者が多い店舗は「カード式(クレジットカード、電子マネー等)」が好まれる傾向にあります。
 B周辺の他の店舗で導入されている決済サービスが、貴方の店舗でも利用される可能性が高くなる可能性があります。
2.必要な設備環境は?
 導入にあたって新たな決済端末や通信回線の整備が必要なのか、あるいは既にある通信環境やタブレット・スマホ等を上手く活用できるかで初期導入コストに大きな違いが出てきます。このため、導入に必要な環境は何かを予め確認しておくことが重要です。「QRコード/バーコード決済」では、端末自体が不要な場合があります。
3.いくら掛かるのか?
 上記2で紹介した環境整備に必要な初期費用や、決済ごとに発生する手数料、付随するサービスや機器レンタル等の費用、他にも通信費や振込手数料が発生する場合があります。
4.入金サイクルは?
 売掛金の入金サイクルは、月1〜2回が主流でしたが、最近では月に複数回入金や翌営業日の入金、売上額が一定金額に達した時点での入金など、バリエーションが豊富になってきました。自身の店舗運営に適した入金サイクルを提供する決済事業者を選ぶとよいでしょう。なお、特定の金融機関の口座開設や、入金の振込手数料を店舗側が負担しなければならない場合がありますので、確認が必要です。
5.コスト以外の条件は?
 2年間の契約しばりや、特定の金融機関の口座開設が必要といった条件が提示されるケースがあります。ポイント還元制度では、実施期間中(2019年10月〜2020年6月末)と終了後で条件が異なる決済事業者もありますので、よく確認してください。
6.加盟店の義務は?
 本制度に参加した加盟店には、一定の責任や売上等の報告義務が課される場合があります。第3回連載でも紹介した「国や補助金事務局による調査への協力」「ポスターの店頭掲示義務」「消費者とのキャッシュレス取引がキャンセル・取消しとなった場合に消費者に対して当該取引のポイントが還元されないようにするための決済事業者への報告義務」等が課される点にも留意が必要です。
7.追加導入できるサービスや機能は?
 決済機能に加え、売上管理や販促等の機能、海外のコード決済サービスも扱えるなど付加的なサービスが提供されています。「導入したら終わり」ではありません。より良い店舗運営を実現するためのツールとして、キャッシュレス決済の導入を検討いただきたいと思います。



【第4回】そもそも“コード決済”って何?


<ポイント還元制度の進捗>
 中小企業・小規模事業者(中小小売店等)の「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元制度)」への参加に向けて、同事業の制度設計や周知広報の計画の詳細が固まってきました。本年5月13日からキャッシュレス決済事業者の本登録(補助金の交付決定)が開始され、全国127社(5月24日時点)が登録を完了しました。一方、中小小売店等の加盟店登録の手続きも5月16日から開始されています。
 現在、全国各地で、中小小売店等の加盟店登録に向けた、制度の活用や具体的な参加手続き等に関する説明会が開催されています。説明会の日程や開催会場は、専用ウェブサイトから確認いただき、事前の参加登録をお願いします。(https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_todouhuken_ichiran.pdf

<“コード決済”とは>
 今回は、ポイント還元制度の対象となる決済手段の一つ「コード決済」(QRコードやバーコードとスマホアプリを用いた決済手段の総称)について、その特徴や導入を検討いただく際に考慮すべき事項を紹介していきます。
 コード決済は、近年、多様な業種から参入が相次いでおり、各社の激しい競争の結果、店舗向けの魅力的なサービス(決済手数料ゼロ、端末代不要、翌日入金等)が誕生しています。こうした環境のもとで、店舗のキャッシュレス決済導入に対する3つのハードル(導入コスト、運用・維持コスト、資金繰り)が低くなってきており、今後ますます、店舗の規模を問わずキャッシュレス決済が広く普及していくことに期待が持てます。
 そもそも「コード決済サービス」とは、どのようなものなのでしょうか。@消費者が自分のスマホ画面上にQRコードまたはバーコードを表示させ、店舗側がそれを読み込む方式である「消費者提示型(CPM)」と、A店舗側がタブレットやPOS画面、またはステッカーや紙媒体等でQRコードを提示し、消費者が自分のスマホアプリのカメラで読み込む「店舗提示型(MPM)」に大別されます。
 さらに@Aは、それぞれ2つのパターンに分かれます。「@消費者提示型(CPM)」は、コンビニや家電量販店を中心に、POS端末に繋がっているバーコードリーダーで消費者のスマホ画面上に表示されるバーコードを読み取る「CPM(バーコード)」方式と、同じく消費者のスマホ画面上に表示されるQRコードを店舗側の専用決済端末で読み取る「CPM(QRコード)」方式の二種類があります。一方、「A店舗提示型(MPM)」は、決済の都度、店舗側で金額情報を含むQRコードを生成して店舗のタブレットやPOS画面等に表示する「動的」方式と、1つのQRコードをステッカーや紙媒体等に印刷・提示して継続的に使用する「静的」方式の二種類があります。
 店舗では、既存のインフラ(端末、コードリーダー、通信環境等)を有効活用できないか、導入コストやオペレーション負荷、その対価として見込めるメリット等を考慮して、どの決済サービスを、どのコード決済のパターンで導入するかを検討してもらえばと思います。
 特に昨年から、多様な業種の参入や利用者拡大に向けた大々的な宣伝広告・キャンペーンを打ち出しているところもあり、消費者のコード決済に対する認知・利用は大幅に進みつつあると考えられます。ただし、一部の消費者や店舗から、「あまりに選択肢(提供サービス)が多いため、かえってどれを選択すべきか迷う」「次から次へと新たに誕生する決済サービス内容に店舗側が即時対応していくのは困難である」といった指摘がなされているのも事実です。
 当協議会では、キャッシュレス決済事業者間の競争によって「決済手数料ゼロ」など、より良いサービスが提供されることを歓迎しつつも、サービスの乱立がキャッシュレス普及の阻害要因とならないよう、技術仕様の標準ガイドライン整備に取組んできました。具体的には、消費者提示型(CPM)については「事業者識別コード」という業界横断的に一意にキャッシュレス決済事業者を特定できる仕様を導入するとともに、店舗提示型(MPM)については「1つのQRコードを複数のキャッシュレス決済事業者で規格統一」する仕様を検討してきました(2019年8月に『JPQR』として稼働予定)。加えて、決済現場での混乱を避けるため、「統一用語集」の公表も行っています。
 こうした技術仕様の統一により、中小小売店等では新たなキャッシュレス決済事業者の追加契約も容易となり、消費者側では自分の使いたいどの決済サービスを用いても支払える環境が整っていきます。





【第3回】キャッシュレス決済に関わる政府施策〔その3〕


 第3回となる今回は、本格的に始動しつつある「キャッシュレス・消費者還元事業」の補助制度活用にあたり、中小企業・小規模事業者(以下「中小小売店等」という。)の本制度への参加申請に向けたステップや確認すべき事項、今後のスケジュール等について、本制度専用ウェブサイト(https://cashless.go.jp)の公表資料に基づいて解説します。

<ポイント還元制度の現状>
 決済事業者は、大きく2つに分類されます。一つは、キャッシュレス発行事業者であり、消費者に対してキャッシュレス決済手段を提供する事業者(A型決済事業者)のことを言います。もう一つは、加盟店支援事業者であり、中小小売店等に対して必要に応じてキャッシュレス決済手段を提供する事業者(B型決済事業者)のことを言います。中小小売店等は、この「B型決済事業者」を通じて本制度に参加申請し、補助金事務局に登録を行うことになります。店舗等に対する決済端末導入補助や手数料補助も、この「B型決済事業者」経由で行うことになります。
 なお、4月26日現在、A型・B型あわせて116社のキャッシュレス決済事業者が仮登録しており、本登録(補助金の交付決定)に向けた審査が進められています(5月中旬正式決定予定)。

<中小小売店等の参加申請>
1.店舗等が本制度の対象か確認を
 本制度は、原則として中小企業基本法の中小企業等に該当する中小企業・小規模事業者が対象です。ただし、定義上は中小企業等に該当しても、直近3年の課税所得が年平均15億円以下であることや、特定の事業区分、取引、商品については「対象外」になる場合があります。詳細は、本制度ウェブサイトで事業内容や取扱商材の適用性について確認できます(https://cashless.go.jp/assets/doc/chusyo_teigi.pdf)。

2.参加申請方法の確認を
 本制度は、新たにキャッシュレス決済手段を導入する中小小売店等だけでなく、既に導入済みの中小小売店等も参加可能です。新たにキャッシュレス決済手段を導入する場合は、決済事業者から公表された「プラン」の中から、自社に合ったサービス内容を提供する決済事業者に直接連絡のうえ、新規で手続きを行う必要があります。一方、後者で、現在利用中の決済サービスを継続利用したい場合には、同サービスを提供している決済事業者が本制度に登録済みかを確認のうえ、当該決済事業者と改めて手続きを行っていただく必要があります。後者は、中小小売店等からアクションを起こさない限り、参加手続きが行われないことに注意が必要です。

3.申請時の留意事項
 キャッシュレス決済事業者が、本制度を通じて提供する「プラン」の概要は、専用ウェブサイトにリストとして掲載されています(※)。具体的には、「クレジットカード」「電子マネー」「QRコード」「特定地域向け(地域通貨、地域限定サービス等)」「EC事業向け(オンライン決済サービス)」の5つに分類されています。
 なお、同一の決済事業者が複数の決済サービスを提供している場合、中小小売店等は決済サービスごとに申込む必要があり、それぞれに決済事業者から審査を受けます。また、本制度に参加する中小小売店等には別途、「要件」(本制度に関する国や補助金事務局による調査への協力等)や「義務」(ポスターの店頭掲示義務や、消費者とのキャッシュレス取引がキャンセル・取消しとなった場合に消費者に対して当該取引のポイントが還元されないようにするための決済事業者への報告義務等)が課されることになります。詳細は、参加申請するB型決済事業者へ確認をお願いします。
 中小小売店等は、決済端末を「実質無償」で導入可能であり、かつ実施期間中の決済手数料は「実質2.166%以下」であるものの、別途通信費など付随コストの発生や、補助期間終了後の端末・決済手数料の取扱いが決済事業者により異なるため確認が必要です。詳細は、「加盟店向け決済サービスのリスト」の概要をご参照ください。

  ※加盟店向け決済サービスのリスト:
  https://cashless.go.jp/franchise/index.html#list






【第2回】キャッシュレス決済に関わる政府施策〔その2〕

 前回は、わが国におけるキャッシュレス決済の普及状況や、政府の「キャッシュレス・消費者還元事業」(以下、「ポイント還元制度」という。)の概要を紹介しました。今回も引き続きポイント還元制度の最新動向や、同制度への参加を検討中の中小小売店等にお伝えしたい「決済ツールの種類」「消費者と事業者のニーズ」「プラン選択」という観点で解説していきます。

<還元制度の動向>
 経済産業省は2019年3月、キャッシュレス決済事業者の仮登録を行い、100を超える登録希望を受けたそうです。今後、ポイント還元事業の執行団体(補助金の運営主体)として当協議会がこの仮登録実務を引き継ぐことになります。その後、決済事業者の本登録を行うとともに、中小小売店等の加盟店登録や決済端末、決済手数料の補助要領など、ポイント還元制度に参加するための要件等を公表する予定です。今のところ、中小・小規模事業者の対象要件は、原則、中小企業基本法第2条の定義に準ずることとし、それ以外の要件(大企業に匹敵する規模の中小・小規模事業者の取扱い、ならびに補助対象外となる事業・取引の詳細)については4月を目処に公表予定です。

<決済ツールの種類>
 多くの中小小売店等は、ポイント還元制度への対応に向けて、どの決済ツールを導入すればよいか迷っておられることと思います。ひと口に「キャッシュレス」と言っても、消費者から見れば決済手段やサービス内容は多岐にわたっており、一方の中小小売店等の皆様にとっても導入方法は千差万別です。そこで、「消費者」「中小小売店等」それぞれから見た視点と、決済事業者のプラン内容を理解することで、購買シチュエーションに応じた決済ツールは何か、わが店舗に適したプランはどれかを選択しやすくなります。

1.消費者の視点
 「消費者」が支払手段を選択する際の検討軸には、@どのタイミングで自分の資産から支払われるのか、A何を提示することで支払えるのか(支払いの媒体)の2つがあります。
@については、「前もって支払う」「いま支払う(即時で銀行口座から引き落とされる)」「後で支払う(月末等にまとめて支払う)」の3通りあります。「前もって支払う」ものにはプリペイド、つまり事前に現金・銀行口座・クレジットカードから任意の金額をチャージしておき、チャージした範囲内で使える「電子マネー」があります。次に「いま支払う」ものには、銀行口座と連携して即時に支払を完了させる「デビットカード」があります。「後で支払う」ものの代表例はクレジットカードです。Aについては、物理的な媒体として「スマートフォン」「プラスチックカード」の2種類があります。
このように、消費者の選択肢には、3通りの支払いタイミングと2通りの支払い媒体を掛け合わせた6通りが存在します。



2.中小小売店等が実現したいこと
 一方、中小小売店等は、どのような決済ツールやサービスを導入すべきか。まず考えるべきは、「消費者ニーズに如何に適合させるか」という観点です。わが店舗のお客様は、いったいどのような決済を望んでいるのかイメージして決済手段を検討することが重要です。
 とは言え、すべての決済手段に100%応えることは難しいと思います。この場合、経営者の皆様がキャッシュレス決済を通じて実現したいことは何か(例えば業務の効率化や販売促進等)をイメージすることも検討基準の一つになります。そして最後は、コストの観点から導入可能な決済端末(接触端末、非接触端末、コード読取機)を選択することが重要と言えるでしょう。



【第1回】キャッシュレス決済に関わる政府施策〔その1〕

 キャッシュレス推進協議会は、経済産業省から2018年4月に公表された提言『キャッシュレス・ビジョン』を受けて同年7月2日に設立された団体で、多くの決済事業者が各種サービスを提供している中、中立的な立場からわが国におけるキャッシュレス社会の早期実現に向けた取り組みを、産官学連携で推進しています。本連載では、世界的に急速に浸透しつつある「キャッシュレス」について、国内外の状況やキャッシュレス普及促進に向けた取り組みなどについて紹介していきます。

<生産性向上や効率化に寄与>
 現在、わが国のキャッシュレス決済比率は19.8%(2016年)にとどまっていて、主要国と比較すると圧倒的に低い水準にあります。少子高齢化により、労働力人口の著しい低下が課題のわが国において、キャッシュレス決済の普及促進は、生産性向上や社会の効率化に欠かせない要素と考えられます。
 こうした中、政府もキャッシュレス決済の普及に向けて積極的に取り組みを始めました。2025年までにキャッシュレス決済比率を倍増(20%→40%)させる目標を設定し、将来的には世界最高水準の80%を目指す「支払い方改革宣言」が出されました。

<中小小売店等にも消費者にもメリット>
 さらに、本年10月1日の消費税率引き上げに伴う需要平準化対策として、経済産業省は2019年度の当初予算案で2,798億円を計上しました。税率引き上げ後の9ヵ月間、中小企業・小規模事業者(中小小売店等)に対しては決済手数料やキャッシュレス決済手段(決済端末等)導入コストの補助、キャッシュレスで支払った消費者に対しては最大5%のポイント還元や割引を補助する、「キャッシュレス・消費者還元事業」を実施予定です。
 本事業は、消費税率引き上げ後の中小小売店等における需要喚起策を支援すると同時に、中小小売店等と消費者の双方にメリットのあるキャッシュレス決済の普及・活用を目指すものであり、政府が目標とするわが国のキャッシュレス決済比率の引き上げにも大いに貢献し得るものと考えています。具体的には、中小小売店等においてキャッシュレスで決済した消費者にポイントを付与したり割引したりするための経費の一部を国がキャッシュレス決済事業者に補助するもので、3月1日時点で公表されている情報では、下図の支援が予定されています。



<ポイント還元制度活用の準備を>
 本事業により、中小小売店等でキャッシュレス決済の普及を阻んできた「3つの壁」(決済手数料、導入コスト、入金サイクル)のうち、決済手数料と導入コストの2つが緩和される方向です。第1の壁である決済手数料については、本事業実施期間中は3.25%以下に設定されたうえで、さらにその3分の1が国から補助されます。このため、例えば手数料率が3.25%の場合は2.16%程度の負担で済むことになります。第2の壁である決済端末等については、中小小売店等は自己負担なく導入できるようになります。
 こうした補助・支援を中小小売店等が受けるには、本年4月1日以降、本事業へ参加するキャッシュレス決済事業者経由で加盟店登録・申請する必要があります。決済事業者は、3月から順次参加を表明し、4月に特設ウェブサイト(https://cashless.go.jp/)上で公表される予定です。中小小売店等は特設ウェブサイトに掲載される提供サービスの詳細情報を確認のうえ、決済事業者へコンタクトするなど積極的にアプローチいただくことをおススメいたします。

<まずは使ってみよう!>
 キャッシュレス決済は、導入する中小小売店等側も、利用する消費者側も、「まずは使ってみる」というはじめの一歩が大きなハードルとなっているようです。今回のポイント還元制度を上手に活用することで、こうしたハードルも乗り越えやすくなり、キャッシュレス決済のメリットを実際に体験することで普及につながっていくと大いに期待しています。